絵具
絵具Watercolors
五感が織りなす日本の色
日本最古の絵具屋「上羽絵惣」。
1751年の創業以来、京都の燈籠町で約270年に渡り、
熟練の職人が手仕事にこだわり、
繊細で美しい日本の色を作り続けています。
歴史
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江戸時代宝暦元年(1751)
初代当主
かねてから、庶民に親しまれる「絵描きさん」を支えるべく絵具づくりをしていた初代当主ゑのぐや惣兵衛が、京都市下京区燈籠町において胡粉業を創業。当時の京都では現代でも人気の高い画家の伊藤若冲や円山応挙が活躍していました。万人に親しめる日本画が開花した時代とともに上羽絵惣は歩みを始めました。
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明治時代
五代目当主
五代目惣兵衛の時代に固形絵具の「顔彩(がんさい)」を考案しました。 従来の丸皿の代わりに小さな角容器を用いた顔彩は、携帯性にも優れ、筆と水さえあればどこでも絵が描けると人気を博しました。
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大正時代大正元年(1912)
六代目当主
六代目当主・上羽庄太郎の時代に、京都洛南の地に工場を設立。この工場で日本画用・図案用・工芸用など日本で使われている殆どの絵具を製造していました。初代から受け継いできた職人の勘と五感を働かせた手仕事で、極上の絵具作りを重視しながら新製品の製造にも目を向けます。当時は⼤正ロマンが花ひらき、芸術作品はアール・ヌーヴォーやアール・デコ様式に影響を受けました。現在の上羽絵惣のトレードマークでもある「白狐」のデザインは六代目が考案したと⾔われています。
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昭和初期
七代目当主
戦時中、海外からの原料入荷が途絶。七代目当主・上羽庄三郎は、手に入らなくなった天然鉱石の代わりに国産品の人工石でまかなえるよう、新しい岩絵具(人造岩絵具)を考案しました。
昭和後期、戦後の経済成長に伴い色数の需要が増え、これまで6・8・12の色数で展開していた顔彩に新しく18色が仲間入りします。 -
平成時代平成元年(1989)
十代目当主
バブル崩壊後、上⽻絵具商店から上羽絵惣株式会社に社名変更。絵画市場の縮⼩と合わせて、日本画を取り巻く環境はかつてないほど困難となり描き⼿も減少しました。伝統の技術と色を守るため、絵具とは異なる新しい分野に挑戦します。2010年に⽔溶性マニキュア「胡粉ネイル」を開発。以降、絵具の原材料となる天然素材の胡粉を用いた「胡粉石鹸」「薬用ハンドジュレ瑞々」「京花舞」など、多彩な「胡粉コスメ」を開発し、みなさまにお届けしています。
想い
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始まりは「胡粉業」
初代・ゑのぐ屋惣兵衛が1751年に「胡粉業」を始め、以来270年以上にわたり日本画用絵具の製造・卸を営んできました。
胡粉は、長い歳月と多くの工程を経て丁寧につくられる、日本画の重要な白色顔料。
絵画だけでなく、木彫りの下地や建築用木材の腐食防止、極彩色の下地、看板の文字にも使用されています。紙や絹、木地を風雨やカビなどの侵食から守り、割れを防ぎ、表面を強化し、なめらかにする効果もあります。
柔らかい天然素材の白色は、お雛様や御所人形、能面の仕上げにも古くから重宝されてきました。 -
職人の感性と手仕事
「胡粉」、「岩絵具」、「水干絵具」等の水飛製法には古来、美術工芸に名高い京都の良水を使用してきました。機械ではなく、卓越した職人が長年の「勘と五感」を働かせた手仕事で、細心の注意を払い極上の粒子均一の絵具を製造しています。
プロの画家の方々からも“上羽絵惣の絵具は筆さばきがちがう”と定評があります。
岩絵具はひとつの色に番手がいくつもあり、粒子が大きいほど濃く、小さいほど淡い、多様な色合いを展開しています。これらの繊細な色は、熟練の職人の手によって守り、受け継がれてきたものです。 -
日本の伝統色
近代の簡素化・機械化していく世の流れに逆らうように、手作業にこだわり続け、歴史と伝統、信用と名を裏切らない丁寧な仕事をすることで、繊細な和の色を創っています。
絵画がデジタル化するなかでも、古から守られてきた日本の美しい伝統色と技術を後世に受け継ぐため、1200の色、700の画材を取り扱い、京都市下京区燈籠町から日本の伝統色、和の色をみなさまにお届けしています。
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トレードマークの「白狐印」
上羽絵惣のトレードマークは「白狐」。なかでも、大正時代に六代目当主が作成したとされる図案は、当時の流行であったアール・ヌーヴォーの影響を受けたモダンな雰囲気をそのままに、看板商品「胡粉」や「胡粉ネイル」のパッケージを飾り、今日までおよそ100年以上にわたり皆さまに愛され続けています。
なぜ白狐か?という理由は、「お稲荷さんのお使い・白狐さん」のご利益「商売繁盛」にあやかったものではないかと言われています。
ラインナップ
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胡粉(ごふん)
上羽絵惣創業時からの商品として多くの方にお使いいただいております。「胡粉」は、ホタテ貝殻を原料にした日本画の重要な白色顔料です。盛り上げや下塗りに使ったり、混色させて淡い色をつくるなど幅広く使用されています。また人形や面・建築や看板にも用いられ、日光東照宮などの極彩色は、その下に塗られた胡粉の白によって際立ちます。上羽絵惣の胡粉の特長は、化学的に合成している白色顔料と異なり“弾力”すなわち粘りがあり、また厚みがあって立体的な点です。色もふっくらと落ち着きあり、仕上がった作品を離れて見ていただくと、一層色が引き立ちます。
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●ホタテ貝殻を原料とする胡粉 全7等級
飛切・白鳳・寿・白雪・白花・粉末胡粉・雪印
※等級により白の純度が異なります -
●異なる原料の胡粉 全2種
チタン胡粉
(顔料の「チタニウムホワイト」を含み、独特の発色が特徴)
盛り上げ岩胡粉
(絵の表面をエンボス加工のように盛り上げる用途に使用する) - [形状]
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フレーク状、粉末状
※定着材は入っておりません。膠(にかわ)等に溶いてご使用ください - [こんな用途におすすめ]
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●美しい白を表現したい
●色を際立たせたい
●絵の表面を立体的に盛り上げたい
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水干絵具(すいひえのぐ)
上羽絵惣の水干絵具は純良優秀な退色しにくい顔料および鉱物質を原料としています。粒子が極めて細かいため、のびが良く、自由にあらゆる色調を表現できます。またレジン液とも相性が良いので、ハンドクラフトに彩りを添える素材としてもご活用いただけます。
- [色数]
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全59色
- [形状]
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粉末状
※定着材は入っておりません。膠(にかわ)・レジン液等に溶いてご使用ください - [こんな用途におすすめ]
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●日本古来の美しい色を使いたい
●レジン液に溶かしてアクセサリーなどを作りたい
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棒絵具(ぼうえのぐ)
棒絵具は江戸時代末期に浮世絵や絵馬の彩色等に使われていました。こちらも鉄鉢と同じく顔料と膠類を練り固め、棒状にしたものです。皿に水を少量入れ、墨を擦るように溶きそのまま使用していただけます。近年非常に人気が高く、海外でも広くご愛用いただいております。水干絵具と色の相性が良く、水干絵具で彩色した後、ぼかす用途で併用されることもあります。
- [色数]
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特製 全13色
- [形状]
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固形・棒状(通常、水で溶いて使います)
- [こんな用途におすすめ]
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●気軽に日本画用絵具を使ってみたい
●海外へのお土産に
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顔彩(がんさい)・鉄鉢(てっぱち)
日本画に最適な高級顔料に、定着材と天然高級デンプン質を加え仕上げた固形絵具です。小さい角容器に入れたものを「顔彩」、丸皿に入れたものを「鉄鉢」といいます。水を含んだ筆で軽く絵具の表面をなでると溶けた絵具が筆に染み込むので、これを小皿などに移してそのまま使用していただけます。上羽絵惣の顔彩・鉄鉢は、古くから好まれてきた色を取り揃え、混色しやすいのが特長です。
- [色数]
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顔彩 全40色
鉄鉢 全40色 - [形状]
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固形(通常、水で溶いて使います)
- [こんな用途におすすめ]
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●気軽に日本画用絵具を使ってみたい
●絵具を持ち歩きたい
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チューブ絵具
本品は透明、不透明両用に使用できます。色調は鮮やかで、日本画に最適な退色しにくい高級顔料を使用しております。粒子は微細、均一で定着材を最も描きやすいように調整しております。
- [色数]
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全32色
- [形状]
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ペースト状(通常、そのまま、もしくは水で溶いて使います)
- [こんな用途におすすめ]
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●気軽に日本画用絵具を使ってみたい
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膠(にかわ)
膠は、胡粉・岩絵具・水干絵具・朱・顔料などを画面に定着させる接着剤として欠かせない画材です。上羽絵惣の膠はリピーターの方が多く、 「色材の発色が美しく仕上がる」とお声をいただいております。
- [種類]
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全2種
- [形状]
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粒状、液体
- [こんな用途におすすめ]
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●胡粉や水干絵具を使いたい
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※ショッピングサイトでの販売はございません。小売店にてお求めください。
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本朱(ほんしゅ)
伝統的に使われてきた朱肉のような、やや黄を帯びた赤色の合成顔料です。水銀と硫黄の人工的化合物で、これらの量の違いなどによって様々な色味を作っております。朱は水分をはじく性質がございますので、膠類は少量ずつ加え馴染ませながら溶いてください。
- [色数]
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全5色
- [形状]
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粉末状
- [こんな用途におすすめ]
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●こだわりの赤を表現したい
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※取り扱いに厳重な注意を要するため、お取引先様との定量のやりとりのみとさせていただいております。
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岩絵具(いわえのぐ)
受け付がれた経験と熟練した職人の多大の注意と研究をもって主に手作業で綿密に製造しております。上羽絵惣の岩絵具は天然・人造・新彩の取り扱いがあります。粒子の大きさにグラデーションがあり、その粒子は水干絵具より粗いため色が深く鮮やかになり、特有の美しい色調を表現していただけます。
新彩岩絵具は方解末に染料、顔料を絡ませて作るため、ご使用の際、膠液への染料の溶解度が高い色がございます。その様な場合は一度水で溶いてその水を捨てて膠液を混ぜていただくとよりよく使用してもらえます。- [色数]
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新彩岩絵具 全54色
人造岩絵具 全36色
天然岩絵具 全11色 - [形状]
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粉末状(通常、膠で溶いて使います)
- [こんな用途におすすめ]
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●日本古来の美しい色を使いたい
●伝統の高級絵具を使いたい -
※ショッピングサイトでの販売はございません。小売店にてお求めください。